今日は辛辣なテーマです。
撮影日の当日、まずはスタッフが三々五々現場に集結する。閑散とした無機的な空間が彼ら彼女らよって一転熱気を帯び、張り詰めた緊張感が漂う空間に変貌する。
顔馴染みのスタッフ間では「よろしく!」「ウッス!」といった簡潔な挨拶が交わされ、久しい再会があればまず旧交を温める儀式が始まる。初対面であれば丁重な挨拶をもって一気に現場のボルテージは高められていく。
ほどなくして、出演者が大胆にあるいは恐る恐る現場へインしてくるのだが、その瞬間こそが、その日の現場全体のモチベーションが測られる極めて重要な局面である。
出演者A: 「(元気いっぱいに)おはようございます!」
一同「(力強く)よろしくお願いします!」
対して、出演者B: 「今日何時に終わりますか?」
(一同):「・・・・・・・」
この問いこそ、撮影現場において口にすべきではない絶対的な禁句の一つであると思う。誰もが現場を速やかに終了させたいという思いは等しく共有しているからに他ならない。思わず「貴方次第で終わる」と喉元までせり上がった辛辣な言葉を飲み込み「共に頑張ろう」と判然としない返答で、ひとまずその場を凌ぐほか術はない。
しかしながら、往々にして、このような言動が先行する場合「待てど暮らせど・・・出ない・・」に陥りがちである。長時間に及ぶ休憩を挟まざるを得ない状況に追い込まれ、その休憩中に再びダメ押しとばかりに
「今日の現場、何時終了予定ですか?」
「あのな~・・・」
一体感が醸成され、創造への共同性が確立された現場であれば、我々は何時間でも何日間でも喜んでお付き合いさせていただきますが、「私は被写体、貴方はそれを撮る者」といった峻別された環境下では、ただ徒労感のみが蓄積されていくばかりなのである。



 


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