Kechiサウンド
映像作品が世に放たれるまでの道のりは、企画、撮影、編集、そしてMA(マルチオーディオ)、白完、音楽・効果音の制作、モザイク処理を経て、完成版へと至る。この一連の一見大雑把とも言える工程の中で、私にとって最も多大な時間と情熱を投じるのがMA作業です。
MAとは画面に音楽や効果音を重ね全体の音量を整える「整音」作業の略称。企画、撮影、編集といった工程の多くが、PCを相手に孤軍奮闘する性質を帯びるのに対し、このMA作業は、作曲家と共に進められる点が特徴的である。この協働を通じて、互いの感性をぶつけ合う過程こそが、この作業の醍醐味と言えよう。
出演者の微細な感情の機微や、シーンが内包する深層心理に音楽がオーバーラップする瞬間映像作品は一気にそのポテンシャルを解放し大きく膨らむ。それはあたかも、50点の作品が、100点、いや150点という価値へと飛躍する錬金術にも似たプロセスである。
先日、私の監督作品のほぼ全てに関わっていただいているKechiさんと長年の親交が結実した一つの試みが実現した。
それは彼と共に往年の名曲を鑑賞し、ノスタルジーに満ちた時間を共有する機会であった。膨大なストックから思い出の楽曲を選定する作業は、同時に、音楽の保存形態が6ミリテープからMD、DAT、そしてデータへと変遷していく過程を振り返ることを余儀なくさせ、テクノロジーの進歩がいかに表現の場にも深く関与してきたかを改めて再認識させるものでした。
作品に使用されている楽曲に関する問い合わせも多くいただいています。つきましては近々当社の公式ホームページ内の「サウンドドラマ」コーナーにて、対談風景と私のお気に入りKechiサウンドを公開いたします。よろしくご鑑賞の程お願い申し上げます。






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