アダルトビデオ業界を取り巻く動向は、社会の自由度を測るための「炭鉱のカナリア」
Posted by 安達 かおる
大正末期から昭和初期にかけて隆盛を極めた「エロ・グロ」文化は、日中戦争の勃発を契機として、有形無形の弾圧を蒙ることとなった。戦時体制下における国民統合と一体感の醸成は喫緊の課題であり、個の解放を促す「性」の言説は、全体主義と真っ向から対立するものであったからだ。ここで注視しなければならないのは、弾圧の最先頭に立ったのは国ではなく国民だった事である。つまり国民による国民の弾圧だった事。これは重要なポイントである。
翻って現代を俯瞰すれば、「LGBT」「選択的夫婦別姓」「多様性」といった、個の尊厳に関わる議論が影を潜めつつある様に感じられる。カード問題を巡る混乱や表現規制の強化、さらには「早婚」や「性役割の固定化」を是とする言説の再浮上は、かつての家父長的価値観への回帰を予感させる。
国防婦人会が風俗店やビデオショップの店頭で糾弾を展開した時代が、今まさに再来しようとしているのではないか。アダルトビデオ業界を取り巻く動向は、社会の自由度を測るための「炭鉱のカナリア」だ。






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