危険につき「自分探し」の旅に出るのはやめましょう

Posted by 安達 かおる

都会の雑踏を離れこんな廃屋に出会うと

心がなごむ

ロケハンで見つけた山奥の廃村で

撮った資料用スチールだ

でもしかしだ

廃村になってしまったのには理由がある

住民が都会へ旅に出て心が

なごんでしまった訳ではないと思う

娘　息子はひょっとしたら

六本木のネオンに惹かれて出て行った

のかもしれない

都会人が山奥の村を訪れた時の

心情とは大きく違うはずだ

訳あって去って行った元住民

には申し訳ないが

都会に住む者にとっては心洗われる風景である

たばこと缶コーヒーでもあろうものなら

右巻きから左巻きへと思考回路の

回転方向が変わってしまう

はやりの言葉で言えば

「自分さがし」だろう

頭が混乱してくる

多くの時間を地下室で過ごしている

自分の存在に疑問と不安がよぎる

｢自分っていったなんだ？？」

・・・・たいがいこの辺りで

「監督　そろそろ行きましょうか」

・・・・現実に引き戻される

地下室へ戻るとロケハン資料の整理が待っている

今日一日連絡が取れなかったせいで

やたら多い電話に作業は一向にすすまない

缶コーヒーとたばこで一息入れながら

沈思黙考

会社から電話あれば社長として

制作関係者には監督として

友達からの電話にはばか話で対応

取引先の人には精一杯ゴマをする

女からの電話にはデレデレと受話器によだれを垂らし

「なーんだ　わかった　わかったよ」

なんとなく落ち着いた

「撮影現場の役者さんと同じじゃないか」

社長を演じ

監督を演じ

セールスパーソンを演じ

単なるスケベオヤジを演じる

シーン毎に違う自分を演じきれれば

まあいいか

それを楽しめれば

もっといい

これじゃあ自分探しで自分が

見つけられらる訳がない

だってシーン毎に違う自分がいるんだから

考えれば考える程深みにはまってしまう事になる

自分さがしは神の領域だね

| 2008年12月31日 20:20 | 安達かおるのつぶやき | コメント（2）